しまグルメブログ

アルファベットを目にしない日はない。朝起きて顔を洗いに行く間にも、目覚まし時計やテレビなどのパネルに記された様々な横文字の前を通り過ぎる。私たちの生活が欧米を手本にしてきたことの一つの現れであろう。
今では日常にしっくり馴染んでいる欧米文化だが、もちろん最初からうまく融合できたわけではない。ビールを麦酒と書いてみたり、日本家屋に洋風家具を入れてみたり、様々な試行錯誤を繰り返していた時代があった。
今ではそのアンバランスさが面白いと再評価されているのだが、今回紹介する「洋食居酒屋スエヨシ亭」は、まさにそんな不思議な和洋折衷が体感できるお店だ。

所は那覇市・末吉公園の入り口から坂を10歩ほど登ったところ。通りから1段降りた地下が店舗になっているためわかりにくいが、カクテルバー「アメリカングラフィティー」を目印にすればすぐ見つけられる。階段を降りて戸を開くと、目の前にぱっとレトロな光景が広がる。
まずは和風とも洋風ともつかないレイアウトをじっくり楽しもう。古い日本家屋から取ってきたという柱、宮沢賢治の本の挿絵に出てきそうな街灯風の照明、アンティークなランプシェードやテーブル、ふすまで仕切られた奥の部屋には艶やかな着物までかけられている。

言葉で羅列すると取りとめもなく雑然としているようだが、不思議と全てが同じベクトルを向いているのが何とも面白い。
調度品も素晴らしいのだが、特筆すべきは闇の濃さ。しっとりとした暗闇に浮かび上がる壁の版画など、見ていてぞくぞくするものがある。店舗が地下ということもあるのだろうが、それだけでは説明し難い何かがあるのだろう。

料理は洋食ベースのオリジナルメニューが中心で、概ね400?600円台とリーズナブル。スエヨシ亭のコダワリサラダや茄子姿の和風ロールなどが良く出るとの事なのだが、今回頂いたのはシェフお勧めの「タコライスピザ」。
タコスピザは良く見かけるが、タコライスのピザというのは他で見ない。どんなものかと空想を楽しみながら待つことしばし。運ばれてきたのがこちらだ。
名前に偽りなく、タコライスがピザになっている。ただ1点違うのが、普通のライスではなく、クリームリゾットを用いている点。そのため、ピザのパリパリ感とリゾットのもっちり感、レタスのシャキシャキ感が一度に楽しめる。
チーズが程よく利いたマイルドな味付けなので、辛いのが苦手な人でも大丈夫。もちろん、辛いほうが好きな方はサルサソースやタバスコをたっぷり使っても美味しく頂ける。
ちなみにこのソースはお店オリジナルとのことで、トマトの種のプリッとした歯ごたえが最高。ビールやワインがとっても合いそうなメニューだ。

ドリンクの方は日本酒・焼酎・泡盛・ワインにビールと品揃え豊富だが、お勧めはワインの飲み放題。ソムリエが厳選した美味しいワインが、3時間850円という安価で飲み放題なのだ。しかも曜日を問わずいつでもOKとのことで、女性客を中心に人気のサービスである。

料理もお酒もお手頃価格で雰囲気も良しとなると、当然お客さんも多い。特に金曜・土曜は満席になることもしばしばなので、来店前に電話確認しておいたほうがいいだろう。
賑やかに楽しく飲んで騒ぐのもいいが、こういうお店ではやはり大人しく粋に飲みたいもの。ちょっと知的な会話なんかもはずみそうな、洋風居酒屋スエヨシ亭である。